薬を貰うときに名前を呼ばれるじゃん。
なぜ一度呼ばれて薬剤師の所へ行って、すぐにまた名前を確認するの?
名前呼ばれたから来たんだから、もうわかってるじゃん。
このように思う患者さんが多いので、薬剤師の視点から回答します。
確かに同じことを繰り返されるのは面倒だよね。
でも、間違えて他の人に薬を渡してしまうこともあるから、確実に本人に渡すために確認しているんだよ。
~薬局の待合室で調剤待ち中~
薬剤師:「~さん、お待たせしました。」
患者:(投薬台へ)
薬剤師:「~さんですね。」
患者:「え?さっき名前呼んだじゃん。 何で二回も名前の確認してんの? 一回目で呼んでんだから、二回目いらないじゃん。」
以上の例を経験したことがある人は多いと思います。
薬局で異なりますが、Mr.Tがいる薬局では一度患者さんの名前を呼び、投薬台に来たら名前の再確認をします。
患者側からすると
「無駄、面倒くさい」
と思われることも多いのですが、この確認は薬局・患者さん、双方にとって大切なことなのです。
今回は二度も名前を確認する理由について説明していきます。
Contents
確実に患者さん本人に薬を渡すため
本人の薬ではない、他の患者さんの薬を渡してしまったという事例は実際にあります。
理由は様々ですが、きちんと確認しないとこのような事態が発生することが多いのです。
患者さんの名前を呼んだときと投薬の前に一度ずつ、計2回確認することで渡し間違う確率が減ります。
仮に他の人の薬を渡してしまい、その薬を服用してしまうと重大な事故につながることもあるので、念には念を入れているのです。
患者さんにとっては面倒だと思う人もいますが、名前を2回確認することによって未然に事故を防いでいるのです。
間違えて持っていく人がいる
「自分が飲んでいる薬だから間違えるはずがない」
と思っている人が多いと思います。
いやいや、結構間違うんですよ、これが。
先生の話をきちんと聞いていなかったり、理解力が乏しい人は自分が何の薬を飲んでいるかわかりません。
「取り敢えず先生が出した薬を飲んでいれば大丈夫」
と思っている患者さんがたくさんいます。
名前を読んで全然違う人が取りに来ることは、薬局では日常茶飯事です。
投薬台まで来て気づいて、
「あ、違った」
と引き返してくれる人であればいいのですが、そのまま投薬に突入してしまうと非常に厄介です。
名前を読んだときに自分の名前でなくても、目があってしまった患者さんは高確率で投薬台に向かってきます。
耳が遠い人もいるので、「呼ばれた気がする」と言って投薬台に来てしまう人もいます。
同姓も多いので、鈴木、佐藤、田中さんなんかは名字だけで呼ぶといっぱい投薬台に向かってきますのでご注意を。
代理人が取りに来た場合は薬の内容がわからない
薬を取りに来るのは本人でなくても構いません。
代理人が薬の説明を受けても問題ないのです。
患者さんの家族であればまだ何の薬を飲んでいるかわかっていると思いますが、まるで無関心な人・友人・ヘルパーさん・施設の方などは、今受け取っている患者さんの薬のことをきちんと理解している人が少ないです。
そうなるといくら薬の説明をしても理解しようとしないし、興味もないので聞いてないことが多いのです。
無関係な他人の薬を出されても平気で持って行ってしまうのです。
「よくわかんないけど、出された薬を飲ませておけばいいんでしょ?」
「説明されてもよくわかんないから、紙に書いてある通り飲ませればいいんでしょ?」
というような人も結構多いです。
自分の薬ではないので、そこまで真剣に薬剤師の話を聞いてくれない人もいます。
名前を呼ぶときはフルネームで呼んだ方がいい
名字だけで呼ぶことも多いと思いますが、できればフルネームで呼んだ方がいいでしょう。
どうしても人数が多いと自分が呼ばれたかどうか聞き取れなかったり、聞き間違いがあります。
「佐藤さん」を呼んだつもりが「阿藤さん」や「加藤さん」が来てしまうこともあります。
フルネームで呼べば同姓同名の確率は低いですし、以上のような聞き間違いも減るでしょう。
たまに自分の名前を呼ばれるのは嫌という人もいるので注意しましょう。
「呼ばれるのが恥ずかしいから下の名前は呼ばないでください」
と受付時に言われたことがあります。
キラキラネームでした…
まとめ
ココがポイント
- 確実に患者さん本人に薬を渡すため
- 間違えて持っていく人がいる
- 代理人が取りに来た場合は薬の内容がわからない
- 名前を呼ぶときはフルネームで呼んだ方がいい
主に以上の理由から、薬剤師は二度も名前の確認を行っています。
他にも理由はあると思いますが、主な理由は今回紹介した内容だと思います。
間違えて出された薬を飲むのは当然、大変危険な行為です。
重大な事故を引き起こす可能性があります。
事故を防ぐためにも面倒ですが名前の確認を行っているのです。
確かに、何度も同じことをされるのはイヤです。
しかし、未然に自己を防ぐためにも名前を聞かれたら答えるようにしていただければ薬剤師にとっては幸いです。
ムスッとするよりは素直に答えてくれた方がそのあともスムーズに事が進みますよ。
「薬局・薬剤師」の関連記事
- 【力価・計算】力価って何? 計算が苦手な薬剤師に計算方法を徹底解説
- 【経過措置】薬のクビ宣告? 経過措置になった薬の対処法について徹底解説
- 【不足薬・対応】薬局に在庫が無い場合はどうする? 医薬品が不足したときの対応方法について徹底解説
- 薬剤師の仕事は誰にもできる? 自称専門家たちについての個人的見解
- 【処方箋・略語一覧】v.d.S.? v.d.E.? 処方箋の略語を一覧にしてまとめてみた