ナウゼリンとプリンペランってどっちも吐き気止めで作用機序も同じじゃん。
何か違いはあるの?
一番の違いは錐体外路症状の有無だね。
錐体外路症状をナウゼリンは起こしにくく、プリンペランは起こしやすいという違いがあるよ。
こんな方におすすめ
- ナウゼリンとプリンペランの違いを知りたい人
ナウゼリンとプリンペランはどちらも吐き気止めで、作用機序も「ドパミン受容体拮抗薬」で同じ分類です。
作用機序は同じですが、これら二つの薬には錐体外路症状の有無に関して大きな違いがあります。
錐体外路症状をナウゼリンは起こしにくく、プリンペランは起こしやすいという違いがあるのです。
また、妊婦や授乳婦への安全性の評価にも差があり、妊娠中はプリンペラン、授乳中はナウゼリンを使用するのが一般的です。
上記で簡潔に説明しましたが今回はナウゼリンとプリンペランの違いについて説明していきます。
ココがポイント
- 作用機序は同じでD2受容体拮抗作用
- 錐体外路症状の有無が大きな違い
- ナウゼリンは錐体外路症状を起こしにくい
- プリンペランは錐体外路症状のリスクが高いが、適応が広い
- 妊娠中はプリンペラン、授乳中はナウゼリン
- 市販薬では「吐き気止め」というカテゴリーは存在しない
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Contents
ナウゼリンとプリンペランの違い
この章ではナウゼリンとプリンペランの違いについて説明していきます。
錐体外路症状の有無
錐体外路症状の有無
- ナウゼリン:起こしにくい
- プリンペラン:起こしやすい
錐体外路症状とは、認知症や脳出血などの脳の異常や薬の副作用などで筋肉が固くなる、手足が震えるなどの体の様々な場所に障害が出てしまう症状です。
ナウゼリンとプリンペランは作用機序が同じですが、錐体外路症状の有無が決定的な違いで、脳に到達してしまうかどうかで錐体外路症状の有無が決まります。
結論として、錐体外路症状をナウゼリンは起こしにくく、プリンペランは起こしやすい薬となっています。
錐体外路症状と血液脳関門
血液脳関門とは、老廃物や毒物などの危険なものが脳に侵入することを防ぐためのフィルターです。
ナウゼリンはこの血液脳関門を通りにくいのでほとんど脳に薬が届きませんが、プリンペランは血液脳関門を通り抜け、脳に届いてしまいます。
そのため、プリンペランの方が錐体外路症状を起こすリスクが高まってしまうのです。
プリンペランは錐体外路症状のリスクが高いですが脳まで届くため、脳が原因の吐き気(中枢性)にも効果があり、適応が広いというメリットもあります。
作用機序が同じでも、脳への届き方に違いがあるんだね。
妊娠と授乳
妊婦や授乳婦への安全性の評価にもナウゼリンとプリンペランの間で差があります。
妊娠中はプリンペラン
妊娠中はプリンペランの方が安全性が高いと言われています。
授乳中にはナウゼリン
授乳中はナウゼリンを使用するのが一般的です。
妊娠中と授乳中では使う薬が違うんだね。
作用機序
ナウゼリンとプリンペランはどちらもD2受容体拮抗作用があり、上部消化管並びにCTZ(化学受容器引き金帯)に作用して、抗ドパミン作用により薬効を発現します。
ドパミンがD2受容体に結合することでアセチルコリンの遊離が抑制されるので、D2受容体をブロックすることでアセチルコリンの遊離を促進させ、結果的に消化管の運動機能や異常を改善します。
また、延髄にあるCTZにも作用し、制吐作用も有します。
アセチルコリンの作用が増強されると消化管運動が亢進するんだね。
適応症など基本事項の比較
商品名 | ナウゼリン | プリンペラン |
一般名 | ドンペリドン | メトクロプラミド |
薬効分類 | 消化管運動改善剤 | 消化器機能異常治療剤 |
錐体外路症状 | 起こしにくい | 起こしやすい |
効能又は効果
ナウゼリン
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)
成人: 慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群
抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時小児: 周期性嘔吐症、上気道感染症
抗悪性腫瘍剤投与時
プリンペラン
次の場合における消化器機能異常(悪心・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感)
胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胆嚢・胆道疾患、腎炎、尿毒症、乳幼児嘔吐、薬剤(制癌剤・抗生物質・抗結核剤・麻酔剤)投与時、胃内・気管内挿管時、放射線照射時、開腹術後
X線検査時のバリウムの通過促進
引用:ナウゼリン、プリンペラン添付文書
同じ吐き気止めですが、適応が少し違います。
抗がん剤、レボドパによる吐き気はナウゼリンが使われることが添付文書からわかります。
プリンペランはX線検査時のバリウムの通過促進に適応があるのですね。
作用機序が同じでも適応が違ってくるんだ。
用法・用量
ナウゼリン
成人: 通常、ドンペリドンとして1回10mgを1日3回食前に経口投与する。ただし、レボドパ製剤投与時にはドンペリドンとして1回5~10mgを1日3回食前に経口投与する。
なお、年令、症状により適宜増減する。小児: 通常、ドンペリドンとして1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前に分けて経口投与する。
なお、年令、体重、症状により適宜増減する。
ただし、1日投与量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。
また、6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすること。
プリンペラン
メトクロプラミドとして、通常成人1日7.67〜23.04mg(塩酸メトクロプラミドとして10〜30mg、2〜6錠)を2〜3回に分割し、食前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
引用:ナウゼリン、プリンペラン添付文書
基本的な飲み方は食前で、1日に飲む回数もほとんど変わりませんが、プリンペランには「小児等への投与」に以下の注意事項があります。
「錐体外路症状が発現しやすいため、過量投与にならないよう注意すること。とくに脱水状態、発熱時等には注意すること。」
引用:プリンペラン添付文書
以上のことから小児にはナウゼリンの方が安全性が高いことがわかります。
あくまでも「どちらかというとプリンペランの方が出やすい」ということだから、そこまで心配する必要はないよ。
錐体外路症状の副作用はそこまで頻繁に出るものではないからね。
吐き気止めは市販で売ってる?
この章では吐き気止めが市販薬で売っているかどうか説明します。
吐き気止めは市販薬では売っていない
ナウゼリンとプリンペラン、両者とも市販薬では販売されていません。
同じ作用を持つ薬もなく、市販薬では「吐き気止め」というカテゴリーすら存在しないのです。
上記で説明した通り脳に影響する可能性が両者にあり、使い方に注意が必要な薬なので、市販薬では販売されていません。
中枢性と末梢性の吐き気
吐き気には中枢性と末梢性の吐き気がありますが、市販薬で対応できる吐き気は限られています。
中枢性の吐き気の例
- 精神的な原因によるもの
- 薬の副作用やホルモンバランスが原因のもの
- メニエール病や乗り物酔いなどの三半規管が原因のもの
末梢性の吐き気の例
- 食べすぎや胃炎などの胃腸によるトラブル
- 舌や喉を刺激したときにおこる物理的な刺激によるもの
上記で示した中で、市販薬で対応できる吐き気止めは乗り物酔い、胃腸によるトラブルのみです。
精神的、薬の副作用やホルモンバランスによる吐き気は市販薬では対処できません。
メニエール病も受診勧奨であり、物理的な刺激による吐き気は原因がはっきりとはわかりません。
なので、市販薬では対処の仕様が無いのす。
乗り物酔いには酔い止めの専用の薬があり、胃腸によるトラブルには消化薬、胃酸の逆流を防ぐなどの対処できる薬があります。
まとめ
今回はナウゼリンとプリンペランの違いについて説明してきました。
最後にもう一度ポイントをまとめます。
ココがポイント
- 作用機序は同じでD2受容体拮抗作用
- 錐体外路症状の有無が大きな違い
- ナウゼリンは錐体外路症状を起こしにくい
- プリンペランは錐体外路症状のリスクが高いが、適応が広い
- 妊娠中はプリンペラン、授乳中はナウゼリン
- 市販薬では「吐き気止め」というカテゴリーは存在しない
作用機序が違えばなんとなく違いはわかりますが、ナウゼリンとプリンペランは作用機序が同じで添付文書をサッと見ただけでは違いがわかりません。
吐き気は様々な原因があり、精神的なものによる吐き気はなかなか厄介です。
薬が効かなかったので変更するというのはよくあることです。
ナウゼリンからプリンペランに変更、逆も然り。
患者さんに変更の理由を聞かれてもなかなか答えることが難しいのではないでしょうか?
安全性の問題もありますが、すべて正確に伝えてしまうと患者さんを不安にさせる可能性があるので、不安にさせないようにうまく説明できるようにしたいですね。
薬が変わったときに「なぜ変更になったのか」をはっきりと言えるようにしておきたいね。
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参考文献:
- ナウゼリン 添付文書
- プリンペラン 添付文書
- 続々 違いがわかる!同種・同効薬
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