こんにちは。Mr.Tです。
今回はガスター10の年齢制限についてです。
ガスター10の年齢制限。
OTCで販売されているガスター10。
誰でも聞いたことがある有名な胃薬です。
処方箋の方でもガスターはいまだに使われています。
H2ブロッカーに分類され、胃酸の分泌を抑えて胃の症状を改善する薬です。
このガスター10に年齢制限があるのをご存じでしょうか?
Mr.Tの薬局では、販売した後に
「80歳以上なんだけど!」
と、クレームが来たことがあります。
販売した薬剤師がガスター10は80歳以上の人は使用することができないことを知らなかった為です。
新人がはまりやすいミスの一つでもあります。
今回はガスター10の年齢制限について説明します。
ガスター10の添付文書
ガスター10の添付文書を見てみましょう。
してはいけないこと
(4)小児(15歳未満)及び高齢者(80歳以上)相談すること
(3)高齢者(65歳以上)引用:ガスター10の添付文書から抜粋
と記載されています。
しっかりと「してはいけないこと」の欄に年齢が書かれていますね。
副作用のリスク上昇の理由
ガスター10を高齢者に投与すると副作用上昇のリスクがありますが、主な理由は以下の2つです。
- 腎機能の低下
- 認知機能の低下やせん妄のリスクがある
腎機能の低下
腎機能が低下すると腎臓の排泄機能が低下し、薬がなかなか体の外に出ていきません。
体の中に薬がずっとあると、副作用が出やすくなってしまいます。
医療用のガスターは医師が腎機能を考慮して処方しますが、OTCではできません。
腎機能は加齢により徐々に低下していきます。
60代では30~40%、80代では50~70%程度の人で腎機能が「中程度以下」と言える状態にまでなるという報告もあります。
腎臓の疾患を持っている人はもちろんですが、持っていない人も服用に注意しなければならない薬なのです。
認知機能の低下やせん妄のリスクがある
せん妄とは、高齢者に多く発症する一種の意識精神障害です。
症状が認知症と似ていますが、せん妄は突然発症し、数時間から数週間にわたり症状が継続します。
時間と共に症状が変化するのもせん妄の特徴です。
H2ブロッカーは認知機能の低下やせん妄のリスクがあるので、高齢者にはなるべく控えるように勧めるガイドラインもあります。
OTCのガスター10は、基本的には症状が出たときに飲む頓服という形の飲み方ですが、受診せずに長期間飲んでしまう人もいるので注意しなければいけません。
まとめ
ココがポイント
- 高齢者では腎機能が低下しているので、副作用が出るリスクが高い
- 認知機能の低下やせん妄のリスクがある
以上の理由によりガスター10を80歳以上は飲んではいけません。
ガスター10は販売する時に必ず年齢を確認しなければならない薬です。
購入者はガスター10はの注意事項を知らずに家族や友人に平気であげてしまいます。
今回説明した年齢や、腎機能についての知識がないまま人にあげてしまい、副作用がでてしまった事例もあります。
他の薬もそうですが、 「必要なくなったから人にあげる」 「自分が効いたから人に教えてあげたい」 その気持ちはわかるのですが、体質や症状などは個人によって違うのでむやみに人に薬をあげるのはやめましょう。
副作用がでる可能性が高く、出てからでは遅いのです。
薬を服用する際には必ず医師・薬剤師の指導の下服用してください。
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参考文献:
ガスター10 添付文書
OTC医薬品の比較と使い分け
対象者
- 薬剤師・登録販売者などのOTC業務に携わる人
- OTCをしっかり学びたい人
- OTCにはどんな商品があるか知りたい人
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