医薬品

【ビスホスホネート製剤一覧】 毎日?週1回?月1回? ビスホスホネート製剤を一覧にしてみた

2021/10/15(金)

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ビスホスホネート製剤一覧

 

Mr.T

こんにちは。Mr.Tです。
今回はビスホスホネート製剤についてです。

 

ビスホスホネート製剤。

 

骨粗鬆症治療の第一選択薬であり、薬剤師であれば知らない人はいないでしょう。

起床時、顎骨壊死、横にならない、多めの水など、単語を聞いただけでもこの薬の特徴や説明しなければならないことがすぐに浮かぶと思います。

 

ビスホスホネート製剤には毎日服用するもの、週1回で服用するもの、月1回で服用するものがあります。

この違いが非常にわかりにくいです。

規格で判断するしかありません。

 

何となく「mg」の数値が小さいものは毎日か週1回かなー、と曖昧な覚え方をしていると確実に過誤を起こします。

 

今回はビスホスホネート製剤を一覧にしてまとめてみました。

 

ビスホスホネート製剤一覧

世代一覧

ビスホスホネート製剤は第三世代まであります。

 

第一世代

ダイドロネル(一般名:エチドロン酸)

 

第二世代

  • ボナロン、フォサマック(一般名:アレンドロン酸)
  • ボンビバ(一般名:イバンドロン酸)

 

第三世代

  • アクトネル、ベネット(一般名:リセドロン酸)
  • ボノテオ、リカルボン(一般名:ミノドロン酸)
  • リクラスト(一般名:ゾレドロン酸)

 

用法一覧

商品名一般名規格毎日週1回月1回4週1回
ダイドロネルエチドロン酸200mg
ボナロンアレンドロン酸5mg
*35mg
フォサマック5mg
35mg
ボンビバイバンドロン酸100mg
アクトネルリセドロン酸2.5mg
17.5mg
75mg
ベネット2.5mg
17.5mg
75mg
ボノテオミノドロン酸1mg
50mg
リカルボン1mg
50mg

表が切れてたら横にスクロールしてください。

経口薬のみ。
*ボナロンは経口ゼリーもある。規格は35mg。

 

作用機序

ヒドロキシアパタイトに高親和性を示し、破骨細胞に取り込まれ、アポトーシスを誘導することにより破骨細胞を減少させ、骨吸収を強力に阻害する。

 

ビスホスホネート製剤がヒドロキシアパタイトと結合

遊離したビスホスホネート製剤が破骨細胞に取り込まれる

破骨細胞がアポトーシスを起こす

骨吸収を阻害する

 

服用上の注意

ココがポイント

服用方法・注意事項

  • 起床時(ダイドロネルは食間)にコップ一杯(200mL程度)の水で飲み、30分は横にならないこと。
  • 必ず水で飲み、服用後30分は水以外の飲食を避けること(ダイドロネルは服用前後2時間は飲食を避ける、ボンビバは60分)
  • 口腔内が荒れる危険性があるため、かみ砕いたり、口の中で溶かしたりしないこと。
  • CaやMgなどが多く含まれているミネラルウォーターなどでは服用しないように。必ず水道水や浄水で飲むようにすること。
  • 顎骨壊死を防ぐために、歯科治療の際は必ず併用薬を伝えること。
  • 普段から口腔内のケアを怠らないこと。
  • 定期的に歯科の検査を受けること。

 

ビスホスホネート製剤は腸での吸収効率が低く、食後に服用した場合、飲食物中のCaなどの金属イオンとキレートを形成することでさらに吸収されにくくなってしまいます。

また、食道に長く留まると、食道潰瘍食道炎などを生じやすくなります。

服用後、すぐに横になってしまうと薬が体の中をなかなか進めず、食道に留まってしまうのです。

 

飲み忘れた場合の対処法

毎日服用

飲み忘れに気づいても服用せず、次の日から再度服用を開始してください。

一度に2回分や、1日に2回分を飲んではいけません。

*ダイドロネルは思い出した時にすぐに服用する。服用時間は食間

 

週1回服用

思い出した時にすぐに服用してください。

思い出した時点ですでに何か飲食をしてしまった場合は次の日に服用してください。

その後はあらかじめ決めておいた日に飲むようにしてください。

 

月1回服用

思い出した時にすぐに服用してください。

思い出した時点ですでに何か飲食をしてしまった場合は次の日に服用してください。

その後はあらかじめ決めておいた日に飲むようにしてください。

 

4週に1回服用

飲み忘れに気づいても服用せず、次の日に服用してください。

一度に2回分や、1日に2回分を飲んではいけません。

 

 

同じ毎日服用でも薬によって対応が異なることがあるので注意しましょう。

患者さんの状況や気づいた時間によっても対応が異なるので、現在の状況を冷静に分析し、適切な対応ができるようにしましょう。

誤って多く飲んでしまった場合は受診勧奨も必要です。

 

関連記事
medical consultation
【受診勧奨】薬剤師・ドラッグストアでの適切な受診勧奨の方法や基準について

 

忘れないための工夫

飲む習慣を定着させてしまえば楽なのですが、1週間に1回、月1回ははなかなか定着させるのが難しいです。

忘れないための対策方法を挙げます。

 

お薬カレンダーを使う

お薬カレンダーは様々な種類のものが販売されています。

お薬カレンダーに飲む薬をセットしておけば飲んだかどうかを確認することができ、飲み忘れも防ぐことができます。

 

 

飲む日付を書いておく

錠剤のパッケージなど、どこでもいいので飲む日付を書いておきましょう。

飲んだかどうか忘れてしまっても使用済のものを見ればいつ飲んだかがわかるので、誤って2回飲むことを防ぐことができます。

 

カレンダーなどに記載する

日曜日に飲むと決めたら、カレンダーの日曜日の欄に目立つように印をつけておきましょう。

カレンダーは毎日見るものだと思います。

カレンダー以外でも頻繁に毎日見るものに印をつけておけば忘れにくくなるでしょう。

 

アラームをかける

日曜日の9:00に飲むと決めたら毎週その日にアラームをセットしておきましょう。

スマホでもなんでもいいです。

 

家族などの協力

家族など、第三者に協力してもらいましょう。

どうしても一人だと忘れる確率が高いです。

第三者に協力してもらうことで忘れにくくなります。

 

日記をつける

「今日は間違いなく飲んだ」

 

という日記をつけましょう。

普段の日記でも構いませんし、薬専用の日記を作っても構いません。

上記で説明したカレンダーに印をあらかじめつけて置き、飲んだら×をつけるなどでも構いません。

とにかく間違いなく飲んだという証拠を残しましょう。

誰でもあることですが、

 

「薬を飲んだかどうか忘れた」

「今何をすればいいのか忘れた」  

 

など、一時的な記憶の混乱があります。

習慣化すると、無意識に行動を起こしているので本当にその行為をやったのかあやふやになります。

外出先で

 

「あれ?家の鍵閉めたっけ?」  

 

という経験はありませんか?

ほとんどの場合確実に閉めていますが、無意識に行っている行為なので記憶に残りにくいのです。

 

薬剤師が気を付けるべき点

初めて服用の場合

週1回、月1回の薬は患者さんにとって珍しいです。

毎日飲む薬が多いので、「こんな風に飲む薬があるんだ」と驚かれることがあります。

週1回、月1回で本当に効いているかどうか不安になる患者さんもいます。

自己判断で毎日飲んでしまわないように初めて服用する患者さんに対しては特に丁寧に説明をし、理解してもらいましょう。

 

薬、規格が変更になった場合

毎日飲むのが面倒だから週1回、月1回の薬に変更するという患者さんがかなりいます。

逆に飲み忘れてしまうことが多いので毎日服用する薬に変更するという患者さんもいます。

 

どちらも服用方法が変わったときに、規格が変わったことを忘れて以前飲んでいた方法で飲んでしまうという事例があります。

毎日飲んでいた薬が週1回の規格に変更になったのにも関わらず毎日服用し、薬が足りないと電話がかかってきた事例も数多くあります。

飲み間違いをしないような工夫が必要です。

 

処方入力の間違い

病院から発行される処方箋が間違っている場合が多々あります。

特に週1回、月1回の間違いは多いです。

Mr.Tもレセコン入力でビスホスホネート製剤を入力する時は必ず添付文書で用法・用量を確認してから入力するようにしています。

それほど間違いやすく、間違うと患者さんに重大な副作用を起こしてしまう恐れがあるので。

 

週1回や月1回で飲む薬を毎日飲まれたら…

 

と思うとゾッとしますね。

 

いくら薬剤師が正しい説明をしても薬袋や薬情の記載が間違っていたら患者さんは間違って飲んでしまいます。

処方箋の記載、レセコン入力、薬袋・薬情の記載もしっかりと確認しましょう。

 

カルシウムを多く含む食品

食品Caの含有量
牛乳1本200cc200mg
プロセスチーズ1切れ126mg
木綿豆腐1/3120mg
納豆1パック45mg
いわし丸干し2匹420mg
干しエビ大さじ1杯184mg
干しヒジキおおさじ2杯140mg
小松菜1/3束290mg

 

食事からCa(600~800mg/日)やビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)の豊富な食べ物をとるようにしましょう。

アルコールやコーヒー、たばこは腸管からのカルシウムの吸収を抑えるので、取り過ぎないように注意しましょう。

 

まとめ

ビスホスホネート製剤の数は少ないですが、規格や飲み方に注意しないと重大な副作用に繋がる恐れがあるので注意しましょう。

上記で説明した通り、正しい説明をしてもレセコン入力のミスなどで患者さんが間違って飲んでしまいそうなトラップはたくさんあります。

調剤過誤を起こさないように「あんちょこ」を作って貼っておくなど、薬局内でも色々と工夫してみてはいかがでしょうか?

 

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参考文献:

  1. 各種添付文書
  2. 薬効別 服薬指導マニュアル 第9版
  3. 薬がみえる vol.3

 

4

 

対象者

  • 薬剤師全般
  • 知識を増やしたい人
  • 服薬指導に役立てたい人

 

この本は1000ページ越えのかなりボリュームがある本です。

気になるところから読みましょう。

Mr.Tは辞書として使っています。

イラストや表が多く、視覚的にもわかりやすいです。

また、薬剤師向け、患者向けの2種類の説明があるので患者に説明する時にすごく役立ちます。

薬剤師全般にオススメです。

 

ココがポイント

  • 全70薬効について詳しく説明
  • イラストや表も多く視覚的にわかりやすい
  • 薬剤師向けと患者向けの説明を両方掲載
  • 「主なフィジカルアセスメント」、「検査値の読み方」などの付録の充実

 

4.5

 

対象者

  • 薬剤師・薬学生
  • 医師・看護師などの医療従事者
  • 薬を深く知りたい人

 

  • 消化器系の疾患と薬
  • 呼吸器系の疾患と薬
  • 感染症と薬
  • 悪性腫瘍と薬

Vol.3なので、以上の項目が収載されています。

イラストが多めで「病気がみえる」に対応しています。

薬理学は解説が難しい書籍が多いのですが、イラストや図でわかりやすく説明されています。

薬剤師・薬学生には必須の一冊です。

 

ココがポイント

  • 薬と病態を結び付けたわかりやすい教科書
  • 1,100点のイラスト・図表で病態生理も薬理もビジュアル化
  • 薬学生・薬剤師、医学生、看護師、MRなど、様々な分野の人たちに使える

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