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【受診勧奨】薬剤師・ドラッグストアでの適切な受診勧奨の方法や基準について

2021/12/16(木)

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Mr.T
こんにちは。Mr.Tです。
今回はドラッグストアでの受診勧奨の方法についてです。

 

こんな方におすすめ

  • 受診勧奨の目的がわからない人
  • 受診勧奨をどのように行えばいいかわからない人
  • OTCで対応できるか、受診勧奨するか判断するのが難しい人

 

受診勧奨。

 

ドラッグストアでOTC(市販薬)を購入しようとしたお客さんがOTCでは対応できない場合、受診勧奨をしなければなりません。

簡単に言うと受診勧奨とは、病院に受診をオススメすることです。

 

「病院に行ってください」というのは簡単ですが、適切な方法で受診勧奨を行わないとお客さんに不快な思いをさせてしまうことになります。

 

そのような思いをさせないために、今回はドラッグストアでの受診勧奨の方法について説明します。

 

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受診勧奨の目的

せっかくドラッグストアに来店してくれたお客さんに対して、なぜ受診勧奨をしなければならないのでしょうか?

受診勧奨する目的をしっかりと理解していないと適切な受診勧奨をすることができないので、きちんと確認しておきましょう。

 

ポイント

  • OTCでは対応できないから
  • お客さんの健康を守るため

 

OTCでは対応できないから

お客さんは自分の症状や、どの薬を使えばいいのか判断できないからこそ薬剤師や登録販売者に相談します。

薬局やドラッグストアに行けばなんとかなると思っている人が多いのです。

しかし、OTCは医療用医薬品に比べて各疾患に対する成分の種類が少なく、効果もそこまで強くありません。

OTCではお客さんの症状には対応できない場合が多いのです。

 

症状に適した薬が無いのに薬をオススメすることはできません。

ゲームなどでよく出る「万能薬」みたいな薬は存在しないのです。

 

お客さんの健康を守るため

OTCで対応できないのであれば受診するしか方法はありません。

 

OTCは症状を治すものではなく、今出ている症状を緩和させる薬が多いです。

かぜ薬を飲んで治ったという人もいますが、かぜはかぜ薬では治りません。

症状を緩和させているだけであり、回復したのは自分の体のおかげです。

 

薬を飲めば治ると思っているお客さんが多いので、お客さんに優しく教えてあげましょう。

また、早めに受診しないと症状が悪化して取り返しがつかなくなることもありますし、症状が初期や軽度であれば重症の状態より短期間で回復し、使用する薬の量も少なくて済みます。

 

お客さんの健康を守るために受診した方がいいということが伝わるような接客を心がけましょう。

 

受診勧奨の目安

ポイント

  1. OTCでは対応できないとき
  2. 重篤な症状がある時
  3. 軽度の症状でも、長期にわたって症状が続いているとき
  4. 時間が経つにつれて悪化していく傾向があるとき
  5. 軽度の症状でも、原因の推定が困難なとき
  6. 重篤な疾患やその前兆が予想されるとき
  7. 薬物耐性や薬物中毒が疑われるとき

 

1.OTCでは対応できないとき

上記でも説明した通り、お客さんの症状に適したOTCが無い場合が多いです。

そのような時は薬を使わなくても平気なのか、受診勧奨をすべきかを判断しましょう。

 

2.重篤な症状がある時

OTCは基本的に軽度の症状にしか対応していません。

疾患によって重篤の目安が違い、判断が難しいです。

例えば頭痛薬を欲しいという患者さんが、

 

「バットで殴られたような痛みがずっと続いている」

 

といった場合には使える薬がありません。

ただの頭痛ではなく、重篤な疾患が隠れている場合があるので注意しましょう。

 

3.軽度の症状でも、長期にわたって症状が続いているとき

軽度の症状でも、症状が長期にわたって続いているのでOTCを買いに来たという人は多いです。

症状が出ていたが何もせずに放置していた場合、他の薬を使ったが治らなかった場合など、状況は様々です。

 

大抵のお客さんは軽度だから病院に行くほどでもないと考えています。

しかし、長期にわたって症状が続いているのは危険です。

かぜが長引いていただけだと思ったら、呼吸器疾患だったというような例をよく見ます。

 

薬を使っても改善しないようであれば、早めに受診勧奨をすることが大切です。

長期の期間とは疾患によって判断が難しいのですが、かぜの症状で来店して、1週間以上長引き、症状が悪化しているようであればMr.Tは受診勧奨をします。

 

4.時間が経つにつれて悪化していく傾向があるとき

症状がどんどん悪化していく傾向がある時も要注意です。

3.と同じく症状を放置、薬を使用しても改善しない場合には重篤な疾患が隠れている場合があります。

 

5.軽度の症状でも原因の推定が困難なとき

原因がはっきりわからない場合はOTCを進めるべきではありません。

原因の推定をするのは非常に難しく、検査をするわけではないので薬剤師・登録販売者には症状を特定することは不可能です。

また、医師ではないので症状を判断、特定することはできません。

 

あくまでもOTCは軽度の症状にしか使用できないため、原因が推定できない場合は受診勧奨をした方がいいでしょう。

 

目薬を求めてくる人はこの例が多く、大抵は軽い症状で来店します。

 

「たまに目が痛くなる」
「ちょっと見え方がおかしい」

 

仮に目にゴミや異物が入ったという原因がわかれば抗生物質や抗炎症薬などで対応できますが、何も原因が推定できないのであれば緑内障や飛蚊症などの疾患が含まれている可能性があります。

これらの疾患はOTCでは対応ができません。

 

6.重篤な疾患やその前兆が予想されるとき

重篤な疾患やその前兆と言っても正直難しいです。

疾患によっても違いますし、たくさん勉強してもなかなか判断が厳しいと思います。

 

例えば片頭痛では発作の前に「閃輝暗点」という症状が出ることがあります。

閃輝暗点とは、突然視野の中にギザギザやキラキラとした光が見え、次第に広がって暗くなるという現象です。

閃輝暗点の症状が治まった後に片頭痛が起こります。

これは片頭痛の発作が始まる前兆です。

 

片頭痛用の薬はOTCでは販売されておらず、受診しないと手に入りません。

このようにOTCでは対応できず、重篤な疾患やその前兆が予想されるときは受診勧奨をしましょう。

 

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7.薬物耐性や薬物中毒が疑われるとき

OTCは医師の許可なく制限なしで購入することができる為、薬を使いすぎて耐性ができてしまったり、薬物中毒を起こしてしまう人も多いです。

よくあるのが頭痛薬の乱用です。

頭痛がひどく、薬を使いすぎて頭痛を引き起こしてしまう「薬物乱用頭痛」という症状もあります。

このような疑いがあるお客さんに鎮痛薬を販売すると更に症状を悪化させます。

 

また、薬物中毒ではカフェインや神経を興奮させるような成分が含まれている商品に要注意です。

眠気防止のためにカフェインが多く含まれている医薬品や、咳止めの医薬品で神経を興奮させるような成分が含まれている商品があります。

適切に使えば中毒になることはないのですが、過度に使うと中毒になる可能性が高いです。

 

受診勧奨のポイント

ポイント

  1. お客さんの様子をよく見る
  2. 症状や期間などから受診勧奨すべきかを判断する
  3. なぜ受診勧奨をしなければならないのかを説明する
  4. 診療行為を行ってはダメ
  5. 何科を受診すべきか提案する
  6. 近隣の病院やアクセス方法を提供する
  7. 救急診療所や救急車の紹介も考慮する

 

1.お客さんの様子をよく見る

お客さんからの話を聞くのは当然ですが、来店したときの様子をしっかりと確認しましょう。

呼吸がおかしい、ふらついている、会話ができないなどの状態であれば受診勧奨をした方がいいでしょう。

 

情報を得る手段は会話や質問以外にも視覚からも情報を得ることができます。

 

2.症状や期間などから受診勧奨すべきかを判断する

上記の受診勧奨の目安で説明した事項から、受診勧奨をすべきかどうかを判断しましょう。

正直非常に判断は難しいです。

ベテランの薬剤師・登録販売者でもかなり迷います。

たくさん経験を積み、勉強するしかありません。

 

3.なぜ受診勧奨をしなければならないのかを説明する

「市販薬では対応できません。病院に行ってください。」

 

というのは簡単ですが、これではお客さんは納得できないでしょう。

お客さんはOTCで改善できると思って来店しています。

何とかなると思って来店しているのに病院に行けと言われるとお客さんはどう思うでしょうか。

二度とこのドラッグストアに来たいと思わないでしょう。

しかし、対応できないものはできません。

なので、対応できない理由、受診勧奨をしている理由をしっかりとお客さんに伝えましょう。

 

上記の受診勧奨の目的でも書いた通り、ドラッグストアでは対応できなく、お客さんの健康を守るために受診勧奨をしているのです。

きちんと受診勧奨の目的・意義を伝えることができないとお客さんは不信感を持ってしまいます。

逆に適切に受診勧奨の目的・意義を理解してもらい、受診した際には感謝されることもあります。

中には受診を進めてくれて助かったというお客さんもいますし、受診して薬局に処方箋を持ってきてくれるお客さんもいます。

薬剤師・登録販売者の仕事は薬を売ることではなく、お客さんの健康を手助けすることです。

 

4.診療行為を行ってはダメ

薬剤師・登録販売者は医師ではないので、診療行為をしてはいけません。

そもそも適切な診断・検査をせず、お客さんからの話を聞くだけでどのように病名を判断するのでしょうか?

あくまでもお客さんから症状を聞き取り、その症状を緩和するお手伝いをするのがドラッグストアでの接客です。

 

5.近くの病院・何科を受診すべきか提案する

受診勧奨をする際に、どこの病院、診療科まで情報を提供できるといいでしょう。

かかりつけの病院があるのであればそちらを優先しますが、なかなか病院に行く機会が無い人はどこの病院、何科に行けばいいのかわかりません。

 

診療科はたくさんあり、症状や病名がはっきりしないのでどの診療科をオススメするか非常に難しいですが、お客さんからは近くの病院や診療科をよく聞かれます。

勤めている店舗の近隣の病院は知っておいた方がいいでしょう。

 

6.近隣の病院とアクセス方法を提供する

店舗の近隣の病院とアクセス方法を提供できればとても役に立ちます。

車を持っていればどこにでも行けますが、全員が車を持っているとは限りません。

徒歩やバスで病院に行く人も多いです。

 

近隣の病院の地図などをすぐにお客さんに渡してあげることができるようにしておけば、聞かれたときに焦りません。

 

7.救急診療所や救急車の紹介も考慮する

受診勧奨をしても土日や祝日などは病院が閉まっている可能性があります。

ドラッグストアでは夜間も開店している店舗が多いので、なかなか夜間に受診するのは難しいです。

そんな時には救急診療や夜間診療を行っている病院を紹介しましょう。

店舗の近くにある救急診療や夜間診療を行っている病院は必ず把握しておいた方がいいです。

 

また、明らかに受診できる状態ではない場合は救急車を呼ぶなどの対応も必要です。

 

受診勧奨をして怒られた場合

こちらは好意で受診勧奨をしてもお客さんには伝わらない場合があります。

 

「病院に行く時間がないから来たんだ!」
「病院には行きたくない!」
「薬屋だろ。何とかしろ!」

 

などなど、理不尽なことを言われるのもしばしば。

そんなことを言っても対応できないものは対応できません。

何を言っても聞く耳を持たない人には早く帰ってほしいとも思いますが、やみくもに薬をオススメしてはいけません。

特に薬物乱用・中毒の恐れがある人には絶対に販売してはいけません。

しかし、その他の場合、少しでも症状が緩和できる可能性がある場合は薬をオススメすることもありますが、最後に必ず改善しなかったら受診するようにお伝えしましょう。

中には併用薬がたくさんあってOTCでは対応できない場合もあります。

 

「病院の薬では改善しなかったからドラッグストアに来た」

 

というお客さんもたくさんいます。

医療用の医薬品で改善できないのであれば、OTCでの改善はかなり難しいです。

 

そんな時は比較的安全な漢方ビタミン剤をオススメしたり、生活習慣のアドバイスなどをします。

もちろん、効果が無いとわかっているのに薬をオススメすることはNGですよ。

 

まとめ

ドラッグストアでの受診勧奨について説明してきました。

受診勧奨の判断や、お客さんに受診する意味を正確に伝えることがとても難しいと思います。

お客さんと接客する側に考えの相違があるということをまず理解しておきましょう。

 

お客さんは薬に関して素人なので、ドラッグストアに行けば何でも治ると思っている人が多いです。

実際、そんなことはあり得ないのですが、それは接客する側の常識なので、お客さんにあてはめてはいけません。

 

受診勧奨するには様々な知識と経験が必要です。

お客さんの健康を守るためにも、日々勉強していかなければならないのが薬剤師・登録販売者の仕事でもあります。

 

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