ムコダインとムコソルバンって同じ去痰薬じゃん。
なんで併用するの?
去痰薬の違いについて知りたいな。
去痰薬はそれぞれ作用するポイントが違うんだよ。
併用することによって、より効率的に去痰作用を示すことができるんだ。
ムコダインとムコソルバンは同じ去痰薬に分類されますが、これら二つを併用することもあります。
主な使い分けは以下の通りです。
去痰薬の使い分け
- ムコダイン:痰の量が多いとき
- ムコソルバン:喉に引っかかる感じの痰
- ムコダインとムコソルバンの併用:痰の量が多く、引っかかるといった両方の症状が気になるとき
ムコダインとムコソルバンは作用機序が違うため症状によって使い分けがされ、より効果的に去痰作用を発揮させるために併用することもあります。
以上で簡潔に説明しましたが、今回はムコダインとムコソルバンを併用する理由や去痰薬の違いについて説明していきます。
ココがポイント
- ムコダイン:痰や鼻水の粘度(ねばつき)を減らしてサラサラにする
- ムコソルバン:気道の粘膜を整え、痰や鼻水を引っかかりにくくする
- ビソルボン:糖蛋白を分解して粘度(ねばつき)を減らす、サラサラした液体を分泌し、粘度を低下させる
- 作用機序(作用するポイント)がそれぞれ違うため、効率的に痰を出すために併用する
- ビソルボンは代謝されるとムコソルバンになる
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Contents
去痰薬の特徴と違い
この章では去痰薬の特徴と違いについて説明します。
登場する去痰薬
- ムコダイン:L-カルボシステイン
- ムコソルバン:アンブロキソール
- ビソルボン:ブロムヘキシン
ムコダイン
ムコダインの基本的な情報
- 薬効分類名:気道粘液調整・粘膜正常化剤
- 一般名:L-カルボシステイン
- 用法・用量:通常成人1回500mgを1日3回経口投与
効能又は効果
- 下記疾患の去痰
上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核 - 慢性副鼻腔炎の排膿
特徴
- シアル酸/フコースの構成比を正常に戻すことによって気道粘液を正常にし、痰の粘性を低下させる
- 痰の粘性成分であるムチンの分泌を抑えることで痰の粘性を低下させる
- 炎症を起こした気道を修復し、粘膜を正常化することで痰を出しやすくする作用がある
作用機序
1. 気道に対する作用
- 粘液構成成分調整作
- 杯細胞過形成抑制作
- 気道炎症抑制作
- 粘膜正常化作用
2. 副鼻腔に対する作用
- 粘液線毛輸送能改善作用
- 粘膜正常化作用
ムコダインは痰の量が多いときによく使われるよ。
ムコソルバン
ムコソルバンの基本的な情報
- 薬効分類名:気道潤滑去痰剤
- 一般名:アンブロキソール
- 用法・用量:通常、成人には1回1錠(アンブロキソール塩酸塩として15.0mg)を1日3回経口投与
効能又は効果
- 下記疾患の去痰
急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、手術後の喀痰喀出困難 - 慢性副鼻腔炎の排膿
特徴
- 気道を潤して痰を外に出しやすくする
- 気道の滑りをよくし、痰や鼻水を出しやすくする作用がある
- 症状が治まっても処方された日数を飲み切るのが良い
作用機序
1.気管・気管支に対する作用
- 肺表面活性物質(サーファクタント)の分泌促進作用
- 気道液の分泌促進作用
- 線毛運動亢進作用
2.副鼻腔に対する作用
- 病的副鼻腔分泌の正常化作用
- 線毛運動亢進作用
ムコソルバンは喉に引っかかる感じの痰の症状によく使われるんだ。
ビソルボン
ビソルボンの基本的な情報
- 薬効分類名:気道粘液溶解剤
- 一般名:ブロムヘキシン
- 用法・用量:通常成人には1回1錠(ブロムヘキシン塩酸塩として4mg)を1日3回経口投与
特徴
- 痰の構成物質である酸性糖蛋白を分解したり、粘性の低い漿液を増やすことで痰を薄め、痰を出しやすくする
- ブロムヘキシンの代謝物がアンブロキソール
- 痰の構成蛋白を分解する作用はビソルボンだけ
作用機序
- 漿液性分泌増加作用
- 酸性糖蛋白溶解・低分子化作用
- 肺表面活性物質の分泌促進作用
- 線毛運動亢進作用
ビソルボンは販売中止になってしまったから、これから先出会うことはないと思うよ。
ムコダインとムコソルバンの併用と違い
この章ではムコダインとムコソルバンの併用と違いについて説明します。
ムコダインとムコソルバンを併用する理由
ムコダインとムコソルバンを併用する理由として、作用するポイントが違うということが挙げられます。
上記で説明した各去痰薬の特徴を以下にまとめます。
ココがポイント
- ムコダイン:粘度(ねばつき)を減らす
- ムコソルバン:気道の粘膜を整える
- ビソルボン:糖蛋白を分解する、サラサラした液体を分泌する
作用機序が違うので、一言で去痰薬といっても痰に対するアプローチの仕方が違います。
ブロムヘキシンが代謝するとアンブロキソールになるのでこれら二つを併用することはあまり見かけませんが、ムコダインとムコソルバンを併用することによって異なる作用機序から効率よく去痰作用を示すことができるのです。
ねばつきを抑えながら気道の滑りをよくするという、ダブルパンチの効果を併用で狙っているんだね。
去痰薬の使い分け
ココがポイント
- ムコダイン:痰の量が多いとき
- ムコソルバン:喉に引っかかる感じの痰
- ムコダインとムコソルバンの併用:痰の量が多く、引っかかるといった両方の症状が気になるとき
以上のような使い分けがされることが多いです。
ビソルボンは小児にはよく出ますが、成人出るイメージはあまりありません。
また、ビソルボンは販売中止に伴い、2023年12月1日に添付文書が掲載削除されるので、これから先出会うことはないでしょう。
ビソルボンはあまり使われなくなってきたのが販売中止の理由だね。
結局代謝されてアンブロキソールになるのであれば、最初からアンブロキソールを使えばいいじゃんという話。
まとめ
今回はムコダインとムコソルバンを併用する理由や去痰薬の違いについて説明してきました。
最後にもう一度ポイントをまとめます。
ココがポイント
- ムコダイン:痰や鼻水の粘度(ねばつき)を減らしてサラサラにする
- ムコソルバン:気道の粘膜を整え、痰や鼻水を引っかかりにくくする
- ビソルボン:糖蛋白を分解して粘度(ねばつき)を減らす、サラサラした液体を分泌し、粘度を低下させる
- 作用機序(作用するポイント)がそれぞれ違うため、効率的に痰を出すために併用する
- ビソルボンは代謝されるとムコソルバンになる
作用するところが違うため、同じ去痰薬でも併用して効果を高めているのです。
去痰作用を示す薬が2種類出ていると、なぜ同じ作用を示す薬を飲まなければならないのかと患者さんは疑問に思います。
「同じであれば1種類だけ飲めばいいのでは?」
と質問されることもよくあるので、去痰薬の違いや併用する理由を患者さんが納得できるような説明を身につけておきましょう。
ムコダインとムコソルバンの併用は患者さんからよく聞かれるよ。
答えられないと患者さんから信用を失ってしまうから気をつけようね。
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