ミドリンMとミドリンPって何が違うの?
適応はほとんど同じなんだけど、使い分けがあるの?
成分に違いがあるよ。
添付文書上での適応はほぼ同じだけど、使い分けもちゃんとあるんだ。
こんな方におすすめ
- ミドリンMとミドリンPの違いについて知りたい人
ミドリンの点眼にはミドリンMとミドリンPの2種類が存在します。
これらの間には成分の違いがあり、適応はほぼ同じですが使い分けがあります。
成分はミドリンMにはトロピカミドのみ、ミドリンPにはトロピカミドとフェニレフリンが入っています。
使い分けに関しては、ミドリンMは子どもの毛様体筋の緊張による視力低下と仮性近視に。
ミドリンPは眼底検査や手術前によく使われます。
以上で簡潔に説明しましたが、今回はミドリンMとミドリンPの違いについて説明します。
ココがポイント
- ミドリンM
- 単剤
- 子どもの毛様体筋の緊張による視力低下、仮性近視に使う
- ミドリンPと比べると効果は弱い
- ミドリンP
- 配合剤
- 眼底検査、手術前、癒着防止に使う
- ミドリンMと比べると効果は強い
- フェニレフリンの交感神経刺激作用により慎重投与が多い
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ミドリンMとミドリンPの違い
この章ではミドリンMとミドリンPの違いについて説明していきます。
有効成分
有効成分
- ミドリンM点眼液0.4%:トロピカミド(4mg/mL)
- ミドリンP点眼液:トロピカミド(5mg/mL)・フェニレフリン(5mg/mL)
ミドリンMはトロピカミドのみの単剤。
ミドリンPはトロピカミドとフェニレフリンの2種類配合されています。
トロピカミドは副交換神経遮断による瞳孔括約筋の弛緩、フェニレフリンは交換神経刺激による瞳孔散大筋の収縮によって散瞳作用が起こる仕組みです。
また、トロピカミドとフェニレフリンの配合比が1:1で散瞳効果が強くあらわれます。
ここでミドリンPの添付文書を見てみましょう。
臨床成績
- 散瞳作用
一般に高齢者では瞳孔径が小さい傾向にあり、トロピカミド単独の点眼では十分な散瞳が得られないことがあるが、フェニレフリン塩酸塩を配合した本剤では年齢に関係なく散瞳が得られ、特に40歳以上では散瞳効果の増強が著明であった。引用:ミドリンP添付文書
ミドリンPの方がトロピカミドの量が多く、トロピカミドとフェニレフリンの2剤が配合されているので効き目が強いことが分かります。
ミドリンPの方が強いんだね。
適応
適応
- ミドリンM:診断または治療を目的とする散瞳と調節麻痺
- ミドリンP:診断及び治療を目的とする散瞳と調節麻痺
「または」と「及び」の違いだけで他は同じですね。
この違いについては特に意味はありません。
適応は同じですが、使い分けは当然あります。
両社の使い分けは以下の通りです。
ココがポイント
- ミドリンM
- 子どもの毛様体筋の緊張による視力低下
- 仮性近視
- ミドリンP
- 眼底検査
- 手術前
- 癒着防止
ミドリンPの方が効果が強く、持続性があるため、検査に使用されることが多いです。
また、ミドリンPにはブドウ膜炎や白内障の術後に起こる癒着を防止する効果もあります。
ブドウ膜炎や白内障の術後では、炎症が原因で虹彩と水晶体が癒着してしまう可能性があります。
ミドリンPの散瞳作用により、虹彩と水晶体が癒着することを防ぐのです。
適応が同じでも両者の間に使い分けがあることがわかるね。
用法・用量
用法・用量
- ミドリンM:診断または治療を目的とする散瞳には1日1回、1回1〜2滴宛、調節麻痺には3〜5分おきに2〜3回、1回1滴宛点眼する。
- ミドリンP:散瞳には、通常、1回1〜2滴を点眼するか、又は1回1滴を3〜5分おきに2回点眼する。調節麻痺には、通常、1回1滴を3〜5分おきに2〜3回点眼する。 なお、症状により適宜増減する。
用途によって使い方が違うので注意が必要です。
どの症状や用途に使うのかきちんと確認が必要だね。
ミドリン「M」と「P」の由来
インタビューフォームの名称に関する項目に名前の由来が記載されています。
ミドリンMはmydriasis(散瞳)と myopia(近視)の M から。
ミドリンPはmydriasis(散瞳)と phenylephrine の P から。
ミドリン自体はmydriasis(散瞳)。
ミドリンの由来
- Mはmyopia(近視)
- Pはphenylephrine(フェニレフリン)
名前の意味を理解していれば間違えることはないですね。
「PはフェニレフリンのPだから配合剤!」 とでも覚えておきましょう。
薬の名前は由来があることが多いよ。
一度覚えたら忘れにくくなるよ。
ミドリンPの慎重投与
ミドリンPの方が効果が強いのであれば、ミドリンMはいらない気がします。
しかし、ミドリンPに「フェニレフリン」が配合されていることによって、慎重投与の人が増えてしまいます。
慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること)
- 小児[「小児等への投与」の項参照]
- 高血圧症の患者[フェニレフリンの血圧上昇作用により症状が増悪するおそれがある]
- 動脈硬化症の患者[フェニレフリンの血圧上昇作用により症状が増悪するおそれがある]
- 冠不全又は心不全などの心臓疾患のある患者[フェニレフリンのβ1作用により症状が増悪するおそれがある]
- 糖尿病の患者[フェニレフリンの糖新生促進作用により症状が増悪するおそれがある]
- 甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進症の患者では心悸亢進、頻脈等の交感神経刺激症状がみられることがあり、本剤の投与により症状が増悪するおそれがある]
引用:ミドリンP添付文書
ミドリンMの慎重投与は小児だけですが、ミドリンPはフェニレフリンの交感神経刺激作用によってこれだけの慎重投与が増えてしまいます。
薬の量が増えてしまうとそれだけリスクも増えてしまうんだ。
できるだけ成分が少ない薬を使ったほうが安全だよ。
まとめ
今回はミドリンMとミドリンPの違いについて説明してきました。
以下でもう一度ポイントをまとめます。
ココがポイント
- ミドリンM
- 単剤
- 子どもの毛様体筋の緊張による視力低下、仮性近視に使う
- ミドリンPと比べると効果は弱い
- ミドリンP
- 配合剤
- 眼底検査、手術前、癒着防止に使う
- ミドリンMと比べると効果は強い
- フェニレフリンの交感神経刺激作用により慎重投与が多い
名前が似ていて非常にややこしい薬ですが、以上のような違いがあります。
眼科の門前薬局などではこれらの違いはお手の物だと思いますが、それ以外の薬局だとミドリンPの処方箋が来ることは少ないでしょう。
一文字違うだけで過誤が起こるので、ミドリンの違いをきちんと理解し、患者さんに適切な説明ができるように覚えておくことが重要です。
初めてだと焦るけど、これで違いが理解できたから自信をもって薬を使えるね。
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参考文献:
- ミドリンM添付文書、インタビューフォーム
- ミドリンP添付文書、インタビューフォーム