医薬品

【ワーファリン・DOAC】ワーファリンとDOACの違いについて徹底解説

2020/12/09(水)

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Mr.T

こんにちは。Mr.Tです。
今回はワーファリンとDOACの違いについてです。

 

血液をサラサラにする薬の代表格、ワーファリン。

 

昔からある薬であり、現在でもかなりの量が処方されています。

 

最近ではワーファリンに代わり、DOACの処方が目立ってきています。

DOACとは直接経口抗凝固薬(Direct Oral AntiCoagulant)の頭文字をとったものであり、作用機序はワーファリンとは違いますが血液をサラサラにする働きは同じです。

別名、NOAC(Novel Oral AntiCoagulants)とも呼ばれています。

 

ワーファリンの注意点で、納豆や青汁を食べてはいけないと指導された方も多いと思います。

また、DOACの方がワーファリンよりも新しくできた薬であり、効果が優れているというのが一般的な認識です。

飲み合わせや注意する食べ物があり、効果も劣るのに、

 

なぜワーファリンがいまだに処方されるのでしょうか?

 

今回はワーファリンをメインにメリット、デメリットを解説していきたいと思います。

 

今回登場する薬

  • ワーファリン(一般名:ワルファリン)

DOAC

  • プラザキサ(一般名: ダビガトラン)
  • イグザレルト(一般名: リバーロキサバン)
  • エリキュース(一般名:アピキサバン)
  • リクシアナ(一般名:エドキサバン)

 

ワーファリンのメリット

ワーファリンの方が優れている点は主に3つあります。

 

ワーファリンのメリット

  • 半減期が長いので、多少の飲み忘れがあってもカバーできる
  • PT-INRという指標があり、効果を判断しやすい
  • 値段が安い

 

これらのメリットがあるので、DOACが発売されてもワーファリンがいまだに多く使われています。

 

半減期

半減期とは、薬が体の中に入ってから半分になるまでの時間です。

 

ワーファリンの半減期は55~133時間と、DOACと比べて非常に長いのが特徴です。

そのため、ワーファリンを継続服用することで薬の血中濃度が安定しやすくなります。

 

毎日決まった時間に服用するのが理想的ですが、時間がずれたり飲み忘れたりする人も多いと思います。

ワーファリンであれば少し薬を飲む時間が遅くなったり、飲み忘れがあったとしても血中濃度が大きく変動することはありません。

 

一方、DOACは半減期が短く、ちょっとした飲み忘れでも血中濃度が下がり、効き目が落ちてしまうことがあります。

このことから、薬の飲み忘れが多い人や飲む時間が不規則な人などはワーファリンを選ぶことがあります

 

抗凝固薬の半減期

名称半減期
ワーファリン55~133時間
プラザキサ10.7~13.4時間
イグザレルト5.7~12.6時間
エリキュース6.12~8.11時間
リクシアナ4.9~19.2時間

 

PT-INR

PT-INRとは、ワーファリンを使う際に薬の効き目を客観的に評価できる指標です。

PTはプロトロンビン時間のことであり、INRは(International Normalized Ratio:国際標準比)の頭文字をとったものです。

 

以下、PT-INRの数値の目安を記載します。

 

  • 1.5~2.0:出血リスクを増やさず治療できる
  • 2.0~3.0:効果を高められる
  • 1.5~2.5:70歳以上の高齢者であればこの範囲がよい

 

このようにPT-INRは年齢や持病など、各個人にあわせて目標とする数値を決めることができます。

数値による判断ができるので、患者の状況に合わせて薬の量を調整することもできます。

 

錠剤のほかに顆粒もあるので微調整がしやすいのもメリットの一つです。

 

DOACにはPT-INRのような指標はありません。

ワーファリンのように薬の量の調節はいらないので使いやすいというメリットもあります。

しかし、抗凝固薬の目的は心筋梗塞や脳梗塞の予防です。

PT-INRという明確な基準があるワーファリンを使い、患者個々の状況をしっかりと見ながら治療した方がよいという考え方もあります。

 

値段が安い

ワーファリンは、DOACと比べると値段が10分の1以下と、非常に安い薬です。

古い薬なので自然に新しい薬より値段は安くなります。

 

薬価の比較(R3.4現在、1錠あたり)

ワーファリン

  • 0.5mg:9.80円
  • 1 mg:9.80円
  • 5mg :10.10円
  • 顆粒:7.30円

 

プラザキサ

  • 75 mg:136.90円
  • 110 mg:240.50円

 

イグザレルト

  • 10mg:364.10円
  • 15mg:505.60円
  • OD錠10mg:364.10
  • OD錠15mg:517.00
  • 顆粒10mg:397.10
  • 顆粒15mg:552.40円

 

エリキュース

  • 2.5mg:130.50円
  • 5mg:236.60円

 

リクシアナ

  • 15mg:224.70円
  • 30mg:411.30円
  • 60mg:416.80円
  • OD錠15mg:224.70円
  • OD錠30mg:411.30円
  • OD錠60mg:416.80円

 

 

これらの薬は長期で飲む薬です。

毎日飲むとなると薬の総額がかなりのものになるでしょう。

 

DOACは新しい薬なのでジェネリックが発売されるまで時間がかかります。

効果に大きな違いがないのであれば、おサイフと相談してワーファリンを選択する人も多いです。

 

ワーファリンのデメリット

ワーファリンのデメリット

  • PT-INRの確認、用量の調節が必要
  • 食事制限がある
  • 相互作用、副作用に気を付けなければならない
  • 効果が消失するのに時間がかかる

 

PT-INRの確認、用量の調節が必要

メリットでも挙げましたが、PT-INRの数値に気を付けなければなりません。

だいたい1.5~3.0が治療域であり、この中に数値を入れるように調節しなければなりません。

 

食事制限がある

納豆・青汁・ブロッコリー・小松菜などを食べてはいけません。

食品に含まれるビタミンKによってワーファリンの働きが阻害されてしまうからです。

 

相互作用、副作用に気を付けなければならない

DOACに比べて薬物の相互作用や副作用が多いです。

 

効果が消失するのに時間がかかる

メリットで挙げた半減期が長いということが裏目に出ます。

もし副作用が出た場合、または他の薬に切り替える場合に体から完全にワーファリンをなくさなければなりません。

そのために半減期が長いことがあだになります。

 

結局、ワーファリンとDOACどちらがいいのか?

正直、どちらにもメリット・デメリットがあり、一概には言えません。

DOACは全体的に脳便塞の予防効果がワーファリンと同じかそれ以上で、なおかつ出血リスクは少ないという長所があります。

 

さらに、定期的な血液検査をする必要がなく、納豆などのビタミンKを豊富に含む食品の制限もないという点で患者の負担も少なくてすみます。

しかし、値段が高いことや明確な指標がないというデメリットもあります。

 

そのため一概にどちらがよいとは言えません。 個々の状況に応じて治療効果や患者の負担を考慮しながら薬を決定することになります。

 

まとめ

ワーファリンのメリット

  • 半減期が長いので、多少の飲み忘れがあってもカバーできる
  • PT-INRという指標があり、効果を判断しやすい
  • 値段が安い

 

 

ワーファリンのデメリット

  • PT-INRの確認、用量の調節が必要
  • 食事制限がある
  • 相互作用、副作用に気を付けなければならない
  • 効果が消失するのに時間がかかる

 

ワーファリンのメリット・デメリットについて解説してきました。

結局、優劣をはっきりとつけることがこの段階ではできませんが、Mr.TはDOACの方かいいのではないかと個人的には思います。

食事に気を付ける必要がありませんし、効果が高く、相互作用や副作用もワーファリンよりは少ないです。

しかし、値段が気になる人や飲み忘れが多い人にはやはりワーファリンの方がよいでしょう。

 

やはり個人によって違ってきますね。

主治医の先生や薬剤師とよく相談して自分の薬を選択するようにしてくださいね。

 

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参考文献:

  1. プラザキサ錠 添付文書
  2. イグザレルト錠 添付文書
  3. エリキュース錠 添付文書
  4. リクシアナ錠 添付文書
  5. ワーファリン錠 添付文書
  6. 薬価サーチ
  7. 薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100

 5

 

対象者

  • 薬剤師
  • 服薬指導をレベルアップしたい人
  • 薬の使い分けを知りたい人
  • 同種同効薬の違いを知りたい人

 

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薬の使い分けに関しては患者さんからよく聞かれるので、この本に書かれている知識ぐらいは最低限欲しいところです。

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